河田弘登志さんは樺太で生まれ育った男性。10歳のときに終戦を迎え旧ソ連軍に追われ故郷を失った。根室に移り住み職員として働く傍ら、北方領土返還を求めるキャラバン隊を立ち上げ半世紀以上にわたり北方領土問題の重要性を訴えている。それまで北海道の問題だと思われていた北方領土問題を国全体に関わる問題として提起してきた。キャラバン隊は全国をめぐり返還を求める署名活動や該当運動を行った。共感が広がり関係団体が出たほか、根室に視察団が訪れるようになった。毎年12月1日に全国規模で返還要求運動を行っているが東京での街頭行進に河田さんは毎年参加している。街頭行進の出発式には空席が目立ち、河田さんは「こんな年はなかった。せっかく街頭行進をしてもこれではダメだ」とショックを受けた。元島民の多くが亡くなっているほか、高齢で体調が思わしくなく参加を控える人が多い事情がある。また若い世代で北方領土問題の認知度が下がっている。ビザ無し交流や北方墓参などの事業は再開の見通しが立っていない。政府には切実な声に答える政策の実現が求められる。