燃料費の急騰は私たちの暮らしに身近なところにも影響を及ぼしている。レトロな雰囲気が漂う静岡・富士市の富士見湯ではこのお湯を沸かすために欠かせないものの価格が急激に上がっている。昭和の香りを色濃く残し長年地元に愛されてきた老舗銭湯だが、今、かつてない苦境に直面している。ボイラーの燃料として用いられる重油が緊迫するイラン情勢の余波を受けその価格が急騰している。これまでは1リットル100円程度だったが富士市では今月12日の時点で130円まで大幅に値上げされた。このまま高止まりが続けば燃料費だけで年間およそ60万円もの負担が増える恐れも。更に、ここで銭湯ならではのある事情が追い打ちをかける。いわゆるスーパー銭湯とは違い生活に必要な一般公衆浴場に分類される富士見湯は静岡県の決まりで入浴料の上限が520円に定められている。現在、富士見湯の入浴料は500円。重油の値上がり分をカバーするためには本来650円ほどに設定しなければ採算が合わない。先行きの見えない重油価格に同じ悩みを抱える銭湯が増える中ですでに惜しまれながら廃業を決めたところもある。1968年に創業した青森市の桂木温泉。平日でも利用客が1日200人を超える街の社交場。今月に入ってからの度重なる重油価格の上昇に加えポンプやサウナ設備などの維持費が重くのしかかり57年の歴史に幕を閉じることになった。
