年間7000万人以上が乗り降りする羽田空港の一角にあるハワイの雑貨店。中でも人目を引くのがアロハシャツ。よく見ると唐草模様に、子どもの絵が柄になっていて、古くなった着物から作られたすべて一点物のアロハシャツとなっている。5万円を超える値段にもかかわらず、空港を訪れた観光客から人気を集めている。手がけるのは群馬・桐生で和装関連の事業を行う会社の社長、熊切理香さん。着物文化を身近に感じてほしいとオンラインやこちらのお店などで2年ほど前から販売を始めた。着物への思い入れには刺しゅう職人だった母の存在が影響している。幼いころから和装が身近な存在だった熊切は大人になり、海外に行く機会が増えたことでその価値を再認識した。そんなとき「アロハシャツの起源は日本の着物にある」という話を耳にした。100年ほど昔、ハワイに移り住んだ日系人たちが持ち込んだ着物をシャツに仕立てたのが始まりだという。それを知った熊切は思い切ってアロハの原点に戻ることを考えた。アロハに見いだした着物文化の活路、シャツの完成には桐生の職人たちの手が必要不可欠と協力を依頼した。一度、反物まで戻した着物を元あった柄や風合いを最大限に生かすため縫製前の打ち合わせは入念に行う。熊切さんの思いを職人たちが形にしたアロハシャツは国内に住む50代、60代を中心にこれまでおよそ100着を届けてきた。さらに大手アパレルブランドとコラボし、都内の店舗で販売を始め若い世代へもアプローチを広げていく。着物文化が身近だというこの着物アロハ、本場ハワイでのイベントに出展したところ2日で30着が完売したという。