ニッセイ基礎研究所の伊藤さゆり氏は「ユーロ圏の景気の状況は、実質GDPが今年ほとんど伸びていません。インフレが効いて購買力の低下が目立ち、景気回復のためにインフレを抑制するという判断が出ています。反応関数のうちの金融政策の波及効果という意味では、利上げを休止するという強い材料が出ているといえるでしょう。しかし、ユーロ圏インフレ率を見てみると、低下傾向もありますが依然高水準で、こちらは利上げを後押しする材料となっています。GDPデフレーターは高止まっており、ECBがずっと警戒してきた物価と賃金のスパイラルのリスクを緩められない裏付けになっていると言えます。価格を上がった分を賃金に反映し、そしてまた価格が上がるという動きが物価と賃金のスパイラルなのですが、原材料のコスト以上に価格に転嫁したと言え、強欲インフレという政治問題化した動きとなり、警戒が怠れない状況と言えるでしょう。私としては次回から一旦利上げ休止になるのではないかと見ています。いずれにしても、インフレ基調が強いという状況なので、インフレ警戒を弱めないというメッセージを強く出すのかなと思います」などと話した。