2015年5月10日、瀬戸内寂聴さんは退院後初となる長編エッセイに取り掛かった。書斎へ行けるほどに足腰が回復しておらず、寝室に仕事道具を持ち込んだ。経験したことを全部書きたいと語り、最も強く刻み込まれたのは痛みの記憶だという。極楽なんて退屈だと今までは言ってきたが、地獄に行ったら痛い目にあうから嫌だと思うようになったという。また2012年には生きるだけ生きて死んだらいい、早く死にたいと語っており、入院前の2014年に書いた「死に支度」でも、生き飽きたと書いていたが、病気になって死に対する考え方が変化したという。