2025年4月4日放送 22:30 - 23:30 NHK総合

時をかけるテレビ
池上彰 いのち 瀬戸内寂聴 密着500日

出演者
池上彰 寺島しのぶ 
(オープニング)
オープニング

オープニング映像。

オープニングトーク

今回、2015年放送のNHKスペシャル「いのち 瀬戸内寂聴 密着500日」を再放送。作家・僧侶の瀬戸内寂聴が、老いと病を受け入れ闘いながら執筆に向き合う日常に密着したドキュメント。ゲストは俳優・寺島しのぶ。22年の映画「あちらにいる鬼」で、瀬戸内寂聴をモデルにした女流作家を演じた。

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あちらにいる鬼井上荒野瀬戸内寂聴
いのち 瀬戸内寂聴 密着500日
2014年5月

2014年5月瀬戸内寂聴さんから中村ディレクターに、腰の激痛で入院したとのメールが届いた。腰椎圧迫骨折と診断され、コルセットをしないと耐えられないほどの痛みに襲われた。食欲もなくなり一時は精神も不安定な状態となった。入院中は苦痛を訴えるメールが度々届いた。さらに胆嚢にがんの疑いが強い腫瘍が見つかった。全身麻酔での手術は高齢者には負担が大きいが、瀬戸内さんは手術を決断した。手術後に何か書けるかもしれないからワクワクするとカメラに笑顔を見せた。

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胆嚢がん腰椎圧迫骨折

瀬戸内寂聴さんは京都市右京区嵯峨野に住んで42年になる。度重なる入院で去年は主の不在が続いた。去年9月下旬に手術を終えた瀬戸内産が戻ってきた。ディレクターが訪れると、3ヶ月間寝たきりだったが、歩行器を使いながらも歩いていた。久しぶりにお酒を飲んだが、10分もしないうちに椅子に座っているのは辛いと横になってしまった。瀬戸内さんは退院後、週2回のリハビリに熱心に取り組んできた。目標は自分の足で立つことと、長時間机に向かうこと。もう1度小説を書きたいとの思いが瀬戸内さんを突き動かしているように見えた。

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嵯峨野(京都)
2015年1月

2015年1月瀬戸内寂聴さんは93回目の正月を迎えた。小説みたいなすごい夢を見たとディレクター相手に夢の内容を語った。リビングから30m離れた書斎に入院以来初めて向かったが、辿り着くことはできなかった。何もしないで物を生産しないことがいかに辛いことかがよく分かったと語った。

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正月

瀬戸内寂聴さんは25歳だった昭和23年に、夫と娘を捨てて年下の男性と出奔、33歳の時に瀬戸内晴美として文壇デビュー。愛と自由を求める女性の魂を400冊以上書き続けてきた。昭和48年11月、51歳の時に出家して瀬戸内寂聴となった。色欲を断ち自らをより文学へと追い込むためだったという。

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源氏物語

久々に深酒した瀬戸内寂聴さんは一番大事なのは文学、私の宗教的な部分を信頼してくれる人よりも私の文学を信頼してくれる人の方を有り難いと思う、文学のために出家したが、仏が私を違う世界に導いてくれているのかもしれないと思う時もあると語った。瀬戸内さんには70近く年下の身の回りの世話をする女性がおり、生活のペースを握られている。物怖じしない彼女たちとのやり取りを心から楽しんでいる。

4月8日

釈迦の生誕を祝う花祭りの日である4月8日、瀬戸内寂聴の住む寂庵の前には人だかりができていた。1年ぶりに法話が行われるためだ。瀬戸内さんの1年ぶりの正装にスタッフの女性は涙ぐみ、瀬戸内さんは気が引き締まると語った。150人の聴衆を前に命の有り難みなどをわずか7分だったが語った。法話後には復帰会見が行われ、小説を書きたいと話した。

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花祭り
5月10日

2015年5月10日、瀬戸内寂聴さんは退院後初となる長編エッセイに取り掛かった。書斎へ行けるほどに足腰が回復しておらず、寝室に仕事道具を持ち込んだ。経験したことを全部書きたいと語り、最も強く刻み込まれたのは痛みの記憶だという。極楽なんて退屈だと今までは言ってきたが、地獄に行ったら痛い目にあうから嫌だと思うようになったという。また2012年には生きるだけ生きて死んだらいい、早く死にたいと語っており、入院前の2014年に書いた「死に支度」でも、生き飽きたと書いていたが、病気になって死に対する考え方が変化したという。

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死に支度
8月

2015年8月、瀬戸内寂聴さんは書斎へ行けるまで足腰が回復した。古い病歴まで書くことにし、友人に連絡すると記憶から抜け落ちていた病がたくさんあった。53歳の時にはくも膜下出血になり、今でも動脈瘤がふたつある。瀬戸内さんは突然に長寿の自己分析を始め、51歳で出家して以来セックスしていないので、もしセックスしていたら途中でどうにかなっていたと思うと笑いながら話した。書き上げた原稿を見て、正確に書いているが面白くないんじゃないかと語った。

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くも膜下出血動脈瘤
8月中旬

2015年8月中旬、瀬戸内寂聴さんの闘病記の冒頭部分15枚がようやく書き上がり、10年来の付き合いの担当編集者が読んだ。病気の話が書かれてなく、つらいかもしれないが、がんのことや告知のことを書いて欲しいと指摘された。闘病記というよりは病気に対する心構えのような文章になってしまっていた。

順調に回復していた瀬戸内寂聴さんの体調に異変が起きた。手足の痺れと痛みを訴え、主治医の診察を受けた。診断結果は老化現象で根本的な治療法はないという。

お盆の8月14日、瀬戸内寂聴さんは霊を迎えるためお堂に入った。最近見る夢は全部死んだ人の夢で、死んだら彼らにまた会えると思ってるのと語った。

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お盆

五山の送り火が行われた8月16日、瀬戸内寂聴さんは外へ出た。送り火を見ながら、死ぬことは恐くないんだけど、死んでみないと分からない、死んでも魂は残る、死んでも何もないなら生きてるこの世の意味がないような気がすると語った。帰宅するとディレクターを誘って晩酌した。

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五山送り火

瀬戸内寂聴さんに突然、闘病記のタイトル「いのち」が浮かんだ。ただの闘病記にとどまらず、「いのち」というより大きなテーマでエッセイではなく長編小説として書き直すという。

10月11日

2015年10月11日、瀬戸内寂聴さんはスタッフの心配をよそに、岩手県の天台寺へ法話に出掛けた。天台寺はかつて20年近く住職を続けた大切な場所で、毎年法話を行い、自分の墓もここにすると決めている。1年半ぶりの法話に3000人が集まり、立ったまま1時間話した。瀬戸内さんは法話後に、自分の墓を見に行った。天台寺には同じ形の墓が約180あり、墓石にはその人にとって大切な言葉を自由に刻むことができる。

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二戸市(岩手)天台寺

退院から1年あまりが経ち、瀬戸内寂聴さんは長編小説「いのち」を書くために書斎に入った。疲れたんじゃないですか?とのディレクターの問いかけに、ちっとも疲れない高揚するのと答えた。

いのち

瀬戸内寂聴さんが書いている長編小説「いのち」の一節を紹介。与えられたいのちは生ききるという覚悟が綴られていた。もう書けないとの不安はないですか?とのディレクターの質問に、それはない、まだ満足していないと答えた。瀬戸内さんはこの日初めてアイスカフェラテを作り、取材ディレクターにも振る舞った。

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カフェ・ラッテ
スタジオトーク

ここまで、2015年放送のNHKスペシャル「いのち 瀬戸内寂聴 密着500日」を再放送。寺島は「何が起きても自分の頭を使って先に進んでいく力 それを笑い飛ばしてしまうパワーがすごい」などと、池上は「作家は命を削りながら作品を作っていくといわれるが 寂聴さんは命を蘇らせている」などコメント。寺島は、過去に寂聴をモデルにした人物を演じた経験から「楽しかった」「見返りを求めない人だった」など話した。

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あちらにいる鬼井上光晴瀬戸内寂聴

ここまで、2015年放送のNHKスペシャル「いのち 瀬戸内寂聴 密着500日」を再放送。寂聴さんは2021年11月に99歳で死去。寂聴さんの言葉で寺島が心に残っているのは「和顔施」。笑顔が他者への施しになるという意味。池上が心に残っているのは「忘己利他」。自分を忘れて他人のために尽くすこと。

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瀬戸内寂聴
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