「困ったことがあれば仲間と分かち合おう」若者の厳しい境遇を歌ったこの歌が中国で今、共感が広がっている。内陸部湖南省の中心都市・長沙。中国共産党の創設者の一人毛沢東が若き日を過ごした重要な場所。街角にはSNSでライブ配信をして僅かな、お金を稼ごうとする多くの若者の姿があった。大学を卒業したのに就職できない卒業即失業という言葉も一般的になっている。若者たちは大学の卒業式のあとみずからの身を投げ出した姿を相次いで投稿した。将来を悲観して、頑張らない今どきの若者の姿を表現したタンピン(寝そべり)。SNSで若者の流行語になった。仕事を探す若者は再起を目指してネット配信の技術者を育成する学校に通っている。ここで学ぶのは年間1万2000人程。授業料は、最も安い1週間のコースは日本円でおよそ6万円。ネット通販が盛んな中国でお金を稼げるライブ配信の販売員を目指す。客を買う気にさせる弾丸トークをたたき込まれる。農村部から1人で長沙に出てきて建築を学んだ劉吉祥さん。この半年間、設計士の仕事を求め20社余りに応募したが、就職できなかった。そこで「新たな道」として選んだのがライブ配信の世界だった。大学で経営学を専攻した胡芸凡さんも内気な性格もあって同じ職を求める同世代の数に圧倒され就職を断念した。この日、胡さんのもとにある食品加工会社から新商品のお菓子をライブ配信で販売してほしいという依頼がきた。初めてライブ配信に臨んだ胡さん。教わった弾丸トークを駆使して売り込む。緊張のあまり、笑顔を作れず新商品の注文はなかった。親からの支援で学校に通い続ける、劉さん。人前に立つ自信が持てずSNSでのデビューはまだ果たせていない。長沙で一人仕事の応募を続けているが就職先は見つかっていない。劉さんが心の支えにしているのはSNSで広がっていたあの歌だった。深刻化する中国の就職難の現実、若者たちはSNSの世界に共感の場を探している。
