医療の質が維持できなくなる実態を知ってほしいと、島根にある済生会江津総合病院医局長の佐々木さんが取材に応じた。患者数年間4万7000人、19の診療科と240床のベッドを持つ地域の中核病院だが、一部の医師が起こす事故やトラブルに頭を悩ませていた。医師による注射針の使い回しの報告もあり、感染はなかったが病院は検査や患者への謝罪などの対応に追われた。医師の高齢化が進む中で、不注意によるミスも相次いでいる。取材中に高齢男性が救急車で搬送されてきたが、付き添いの妻は医師によっては診療に問題があると感じていたためこの病院に来たくなかったという。最大の理由は医師の大幅な減少で、かつて28人いた常勤医が12人にまで減っていた。中津院長は、昔からトラブルを起こす人はいたがみんなでカバーしていた、人が少なくなると1人1人の力量が確認されてしまう、大学も医者がいないので派遣する余力はないと話した。