古代の浜通りで盛んだった鉄作りの技法「たたら製鉄」を再現しようと、研究者らが福島市に復元した炉で古来の鉄作りに取り組んだ。浜通りは飛鳥時代から平安時代にかけて国内有数の鉄の産地で、ここでつくられた鉄を使って多くの仏具や武器などが製造されていた。この福島古来の鉄作りの文化をよみがえらせようと、県文化振興財団の遺跡調査員だった吉田秀享さんは、10年前から有志と共に当時の技法「たたら製鉄」による製造を試みている。高さ2メートルの炉は、南相馬市の奈良時代の遺跡で発掘された炉の跡を参考に先月下旬に福島市郊外で復元されたもので、熱した砂鉄と炭に「ふいご」という装置で空気を送り込んで加熱し鉄を取り出す。温度管理などが難しく、今回19時間かけて作られた鉄は3キロほどと少なめだったが、古来の製法のノウハウはこれまでの取り組みで蓄積されているという。立子山たたらの会・吉田秀享代表は「昔の人の気持ちがわかればいい」などと話した。