京成本線海神駅は船橋市の住宅地の中にあり一日およそ6000人が利用している。駅のすぐ脇には踏切があり、ラッシュ時には1時間に最大18本の電車が通り何度も遮断機が下ろされ、街の人からは「待ち時間が長い」「邪魔だなと思う」という声が聞かれた。しかし地域の子どもたちは少し違う。きっかけは5年前に作られた絵本、ふみきりくん。海神駅の踏切がモデルになっている。朝から晩まで忙しく働きみんなの安全を守っている踏切を描いた絵本で、累計で20万部以上、発行されベストセラーにもなった。ふみきりくんは地元の幼稚園でも大人気で、踏切によって地域には触れ合いも生まれている。どうして踏切が主人公の絵本を作ったのか。福音会書店編集者の大島麻央によると「作者が乗り物の絵本は子どもたちが大好きなので作りたいといったことから企画が始まった」と話していた。身近な踏切が安全を守ってくれていると誰もが感じられるようにと海神駅以外の踏切も数多く見て回りデザインに生かしたという。作者のもとには各地から子どもが踏切に興味を持つようになったとか踏切に親近感を覚えたといった感想が寄せられた。住民と鉄道をつないできた海神駅の踏切、今や地域だけでなく絵本を通じて広く親しまれている。作者のえのもとえつこは高齢で体調が思わしくなくてインタビューは難しいということだったが、「電車が好きな子どもたちなどに絵本に親しむきっかけにしてほしいです」とコメントを寄せた。
住所: 千葉県船橋市海神5