千葉県成田市・成田空港内にあるフードコートでは、帰国前の外国人観光客たちが日本のソウルフード、おにぎりを食べていた。インバウンド需要が高まり続けるおにぎりにピンチが。吟しゃり北海道成田空港店・石田陽補店長は「米とのりはもう命になってくる、それが(仕入れ値)上がってしまうと」と話す。産地有明での不作などによる海苔の価格高騰。漁連や漁協が販売するのり1枚当たりの平均単価は2020年度は10.48円だったが、去年からことしにかけた23年度は21.14円と倍以上になり過去最高値を更新し続けている。東京・港区・きのくにや麻布十番店の最安メニュー、のり弁当は開店以来25年間380円という価格にこだわってきた。しかし濱田安宏オーナーは「今年4月断腸の思いで450円に値上げせざるをえない」と話す。さまざまな食材が高騰する中、のりの仕入れ価格が4割ほども上がったため400円の壁を超える苦渋の決断に踏み切った。家計にも打撃を与えるのりの高騰。東京・大田区・金原海苔店では有明産などの国産と韓国産ののりを仕入れそれぞれ加工して販売している。金原満社長は「温暖化のために生産地でのりが思うように取れない」と説明。漁協などで取り引きされた昨年度ののりの枚数がおよそ49億枚。一方国内でののりの推定消費量は75億枚。海水温の上昇などの影響で国産の枚数が不足しているうえ、和食人気などで世界的に需要が急増し韓国産ののりの価格も高騰、日本が買い負けしているという。別の海藻の不作の影響も。港区・富喜製麺研究所六本木店は今人気の昆布水つけ麺を提供するラーメン店。だしの味を左右する昆布は北海道産にこだわって使用しているというが、千々波伸之介店長は「(仕入れ先によると)入荷する数自体が少なくなってる」と話す。国内生産量のおよそ9割を占めるという北海道の昆布だが、海水温の上昇などを受け昨年度の生産量は過去2番目の低水準に。価格は過去最高値の水準に近付きつつあるという。