今年9月、東京ドームでの始球式に登場したのは亀澤理穂さん。15日から開催されるデフリンピックの卓球日本代表。7月、亀澤選手は強化合宿に参加していた。亀澤選手は生まれつき感音性難聴、補聴器をつけてかすかに音がしているのが分かる程度で話している言葉は分からない。チームメイトとは手話でコミュニケーションをとる。デフリンピックは4年に一度開催され、1924年のパリ大会から始まり、日本での開催は初となる。亀澤選手は4大会連続でデフリンピック出場、5個のメダルを獲得している実力者だが、金メダルにはまだ手が届いていない。卓球をはじめたのは小学生の頃で両親と兄も卓球選手という卓球一家で育った。家族の中では1人だけ耳が聞こえない。中学生のときにデフ卓球に出会い、大学1年生でデフリンピックに初出場しシングルスで銅、団体で銀メダルを獲得した。父の真二さんはデフリンピック卓球日本代表の元監督。亀澤選手は補聴器をつけていても音がひずんで聞こえるという。補聴器を外すと何も聞こえないので体の反応が遅れてしまうという。デフリンピックでは競技場内では補聴器や人工内耳を外すのがルール。聴覚の情報がないとミスが増えてしまう。同世代の選手が引退していく中でも亀澤選手がデフ卓球を続ける理由は好きなことを諦めるのは自分の人生を諦めることになるから最後までやりたいと話す。亀澤選手は普段、障害者アスリート社員として週2~3日働いている。練習・試合も出勤あつかいで競技に集中できる環境。夜自宅を訪ねると娘の結莉さんがいた。シングルマザーとして子育てにも忙しい日々。家事の合間で宿題をチェックするのも日課。亀澤選手は妊娠をきっかけに引退したが、1年半あとに現役復帰した。
			
