病院が守れない。最後の砦に危機。日本の医療の中心を担う大学病院や地域の医療を支える総合病院で、今、想像を超えるような事態が起きている。岡山市にある岡山大学病院は、手術支援ロボット「ダビンチ」を使った手術の件数が全国トップクラスで、中国・四国地方の高度医療を担う拠点の1つとなっている。しかし手術室で使う医療機器の中には、耐用年数を大幅に超えて使い続けたために、故障するものも出てきている。背景にあるのは病院の経営の悪化。医薬品、材料費や人件費の高騰が深刻で、それぞれ数十億円規模で増加する一方、大学病院が担う臓器移植などの高度医療は収益につながりにくく、努力で収入を増やすのは容易ではないという。さらに経営悪化の波は地域の病院にも及んでいる。滋賀県北部にある長浜市立湖北病院は、建物が築40年を超えて老朽化が進み、天井は大きく剥がれて雨漏りが起きている他、空調からの水漏れも頻発しているものの、修繕が追いつかない。2023年には手術室の空調が故障して、患者の安全を確保しながら猛暑の中で手術を行ったこともあったという。この病院では地域の他の病院との再編の議論を進めてきたが、赤字が膨らんで議論は停滞している。病院の再編は地域に必要な医療を維持するため国が進めてきた対策の1つだが、同じようなケースは全国各地で起きている。
