事故や災害などの現場を再現して、子どもたちが応急手当の技術などを競う大会「子どもメディカルラリー」が、先月徳島市で開かれた。徳島県で初めて行われた大会には、県内各地から小学5、6年生3人1組の24チームが参加した。徳島県牟岐町に住む6年生の伊澤櫻子さんの夢は、いつか救急救命士として働く父・義雄さんのように命を守る仕事に就くこと。父の姿に憧れ、小さい頃から心肺蘇生の練習などをしてきた。櫻子さんの暮らす牟岐町は人口約3700、医師不足が課題の地域。救急の要請をしても、症状に対応できる医師が町内の病院にいないこともある。救急車で他の市の病院まで搬送する場合、消防によると高速道路の通っていない牟岐町からは約1時間から1時間半もかかるという。医師に引き継ぐまでの時間がかかる地域だからこそ、初期の応急手当がより重要になるという。牟岐町で父の背中を見て育った櫻子さんにとって、「子どもメディカルラリー」は人を救いたいという思いを形にできる初めての機会。