ゴッホは27歳で、聖職者の道を断念し、画家になると決意。画家になった理由のひとつは、弟・テオの勧め。ゴッホは、美術商の会社で働いた経験もあった。もうひとつの理由は、ゴッホが芸術の力を信じていたから。素晴らしい芸術作品は、神の言葉が宿ると考えていた。伝道師でなくなっても、芸術家になることで人々を救えると思ったという。ゴッホの父は牧師で、親戚にも聖職者がいたという。ゴッホは、故郷・オランダに戻り、ニューネンにある両親の家に同居して、アトリエを構えた。弟のテオは、給料の中から絵の具代や生活費をゴッホに渡していた。ゴッホはほぼ独学で絵を学んだ。描きたかったのは、炭鉱夫や農家の人々など。テオ宛ての手紙のなかで、ゴッホは、どこか人間味のあるささやかな痕跡を残したいなどと綴っていた。