東京・神楽坂に夜7時から2時間だけオープンするパン屋がある。提携している18店舗で売れ残ったパンを買い取り、同じ価格で販売している。路上生活者やコロナ禍でバイト先がなくなった学生など14名が働いている。西篤近さんはここで働き始めて住居を持った生活に戻れたという。西さんは大学卒業後に自衛隊に入り、東日本大震災の時は救助活動に従事した。学生時代の夢だったダンサーを目指したが叶わず、6年間路上生活を送った。西さんが午後6時に江戸川橋のパン屋さんを自転車で訪れると、売れ残りそうになったパンを袋詰めして用意してくれていた。夜のパン屋さんのスタッフは行くパン屋さんを自分で決めることができ、店では誰が何をするかは決まっていない。協力するパン屋は廃棄ロスを無くすことができ、夜のパン屋のスタッフは仕事と自信を得ることができ、WIN-WINの関係になっている。神楽坂を含めて都内3か所に店ができ、様々な事情を抱えたスタッフが働いている。店を立ち上げた料理研究家の枝元なほみさんは昼間も働ける場所を作りたいと古民家を使ったカフェを計画している。夜のパン屋さんはSDGsの1番「貧困をなくそう」のきっかけになるかもしれない。