生活様式の変化に伴い畳店は次々に姿を消し、全日本畳事業協同組合によると、加盟店はこの5年で3割減少した。甲府市にある大正2年創業の畳店では、県内で最も若い職人の兄弟が働いている。27歳の堀田誠道さんと24歳の弟・将迅さんは、高校卒業後に京都の畳店で4年ほど修行して家業を継いだ。2人がこだわるのは伝統的な手縫いの畳。畳1枚を仕上げるのに5時間以上かかる。近年主流の機械で作る畳は北方スチロールや木質繊維を使うが、手縫いの畳はわらを使っている。クッション性や湿度の調節機能に優れ、日本家屋に適している。2人は畳政策技能士の資格を取得し、今ではその技術を求めて県内外から多くの注文が寄せられる。地域の寺では、2人の父が30年前に縫った畳の張替えも行った。今後はそのワザを文化財などの保存・修復にも役立てたいと考えている。