東日本大震災からまもなく14年、岩手県陸前高田市での大津波に耐え、奇跡の一本松と呼ばれた松は2012年に枯死が確認され、その後復興のシンボルとしてモニュメントが同じ場所に立っている。街を襲った津波は人々の暮らしだけではなく、産業をも破壊した。東京出身、鍛冶川直広さんは陸前高田で活動を始めて13年になる。ぶらり気仙・鍛冶川直広さんは、やっぱり通るたびに震災のことが頭をよぎるのでもっと頑張ろうという気持ちになったりだとか、亡くなった方々に対してお祈りするような気持ちになります、と語る。震災後、募金を陸前高田に届けようと、初めてこの地を訪れた。そして被災地の現状を目の当たりにした。何か手助けをしたいという思いから、海中熟成酒のプロジェクトを開始。地元の日本酒、ワイを海の中で熟成させる事業。この地域では2010年ごろから海中熟成酒が造られていた。陸前高田の眼前に広がる広田湾の外湾は、親潮と黒潮が混ざり合い豊富なプランクトンが生まれる豊饒な漁場。内湾の広田湾は周囲の山から栄養豊富なミネラルを含んだ水が流れ込み良質なカキが取れるため、震災前から世界的に有名な産地。しかし豊かな海が震災により壊滅的な被害を受けた。その海から地元を復興させようと漁師や漁業関係者だけでなく、飲食業、観光業、自治体まで巻き込み、鍛冶川さんをプロジェクトリーダーとして「広田湾海中熟成プロジェクト」が始まった。