地震による原発事故を想定した国の原子力総合防災訓練が、鹿児島県で行われている。訓練は、最大震度7の地震により、鹿児島県の川内原発で重大な事故が発生したという想定で行われた。去年1月の能登半島地震のあと初めて行われた、国の原子力総合防災訓練。大きなテーマが地震と原発事故の複合災害への対応。住民が、これまでの想定どおりに避難できない可能性が明らかになってきた。各地で道路が寸断されて、孤立した地区が相次いだ能登半島地震。石川県の北陸電力 志賀原子力発電所の周辺も、例外ではなかった。原発30キロ圏内では、14の地区の少なくとも154人が孤立。避難道路として想定された一般道は、32か所で通行止めになった。川内原発周辺の地域で、こうした課題にどう対応していくのか。薩摩川内市滄浪地区の住民は、今回、これまでの想定とは異なる避難に臨んだ。市の避難計画では、地区の住民はバスなどで鹿児島市内へ避難することになっている。今回の訓練では、地震で道路が寸断。このため、海からの避難に切り替えた。住民は漁港に向かい、ゴムボートに乗り込む。沖合の海上自衛隊の艦艇まで移動した。別の地区では、取り残されている住民をヘリコプターで避難させる訓練も行われた。鹿児島県などは、訓練の結果を検証して、対策強化につなげるとしている。鹿児島大学の地頭薗隆名誉教授は、原子力災害も自然災害でもいろいろな事態、複合的な災害が起きる、複数の案で対応できる準備はしておかないといけない、と話していた。