今回の判断にあたり高市首相は迅速に実施できるか、効果が十分かどうか、政権公約との整合性の3点を重視した。まず課題となったのはレジシステムの改修に必要な期間。先月、国民会議の実務者会議で示された改修にかかる期間の見通しは、税率をゼロにする場合は最大で1年程度を要する一方、1%に引き下げる場合は最大で半年程度と期間は半分程度になるとされました。こうした事情も踏まえ、自民党と政府の水面下の調整では迅速性を重視し、税率を1%とする案を軸に検討が進められた。一方、与党は衆議院選挙の公約で、ゼロにする方向で検討を加速するとしていたため、中低所得の人に1%相当分を給付することで実質的な税率をゼロとする案が浮上した。政府関係者の1人は「高市総理大臣は、国民への約束の実現にこだわりを持っていた一方、物価高が続く中で早く減税を実施したいという思いもあり、現実的な決断をした」と話している。消費税率引き下げは物価高が続く中での消費者の負担軽減や個人消費の下支え効果が期待される。ただ業界団体からは減税分ほど税込み価格が下がらない可能性があるとも言われる。原価の上昇やレジシステムの改修コストなどから期待されているほど下がらないのではとされる。また海外の例では税率を戻した時の価格上昇の方が大きいという傾向もある。消費税率を1%とし中低所得者に給付を行うには年間5兆円程度の財源が必要とされる。これについて中間取りまとめでは赤字国債に頼らず歳出・歳入のあらゆる見直しで確保するとしているが、具体的な検討は来年度の予算編成の中で行うとしている。2年後に税率を8%に戻す際に、本当に戻せるのかとの声もある。消費税は国の現在の最大の支出項目である社会保障費を支える重要な財源になっている。自民党内には「物価高対策として必要だ」と減税に賛成する意見の一方、財政や経済への影響などを懸念する声も根強くある。多くの野党からは減税ではなく給付を実施すべき、恒久的な減税にすべきとの反対の声が上がっている。参議院では与党が過半数に達していない状況が続いているため野党の協力をいかに取り付けるかが課題となる。
