“親亡き後”問題について。自宅で暮らす知的障害者は全国で114万人。中には親がすでに高齢の人が少なくない。その親たちは“自分がいなくなったあと子どもがどうなるのか”と不安を募らせている。秋田市の鈴木哲朗さん。去年70歳となった鈴木さん。今最も心配しているのは長男の樹さんの将来。生まれたときから知的障害がある。読み書きや会話は簡単なものに限られる。生活するには両親の支えが欠かせない。例えばお金の管理。樹さんは計算ができないため、お小遣いは毎日決まった額を渡している。食事も1人にすると食べすぎてしまう。そのため、母の啓子さんが健康を考え、量や種類を調整している。樹さんが施設で段ボールを組み立てる作業をしたあと楽しみにしているのは、ゲームセンターでのひととき。鈴木さん夫婦は今70歳と66歳。自分たちがいなくなったあと息子はどうなるのか、自分らしく生きていけるのか不安は増すばかり。