種子島開発総合センター鉄砲館には種子島を代表するトビウオ漁を再現したジオラマがある。背景には緑豊かな馬毛島が描かれている。産卵のため馬毛島海域にくるトビウオを狙い、5~6月に集落ごとに共同で漁をしていたという。江戸中期に漁村は「浦」と呼ばれ、種子島には18の浦があった。いくつかの浦が領主から厳しい海の労働を課された代わりに馬毛島の漁業権を与えられ、それを引き継いだ漁村が今も漁を続けている。18歳から漁をしている塰泊集落の磯川次夫(90)さんが馬毛島の漁について教えてくれた。昔の漁師は馬毛島に漁業基地を作り、季節移住して漁をしていた。生活がかかったトビウオ漁は漁場の争奪戦。夜中に起きて漁場を探す。岳之腰の頂上につく灯りが操業の合図だった。最盛期には何万ものトビウオが水揚げされ、海岸いっぱいに干された。組合に加入できるのは一世帯に一人だけ。馬毛島で漁をする権利は厳しく管理されていたという。
住所: 鹿児島県西之表市西之表7585