米国のバイデン政権は、AI(人工知能)向けの先端半導体の輸出について新たな規制案を発表した。発表された新たな規制案では、「強力なAIシステムが悪意あるものの手にわたれば、大量破壊兵器の開発が可能になるなど、国家安全保障上重大なリスクを生じさせるおそれがある」と指摘している。そのうえで世界の国と地域を3つのグループに分け、日本など18の国と地域が含まれるグループは新たな規制はかからない。また米国の有力紙・ワシントンポストによると、インド、ブラジル、ポーランドなどを含む世界の多くの国については「許認可が必要ない輸出は年間1700基まで」という数量制限を設ける。数量や輸出先を把握する仕組みを整えることで、これらの国々を通じて中国やロシアなどに輸出され、軍事転用されるリスクを防ぐねらいがある。一方、すでに輸出規制の対象となっている中国やロシア、北朝鮮などについては、新たに高度なAI技術の移転も制限する措置を盛り込んだ。規制案をめぐっては、半導体大手・エヌビディアが「行きすぎた規制だ」などと声明を発表し、業界からは反発の声が上がっている。