今年5月、SNSなどを運営する事業者に対して、被害を受けた人への迅速な対応を求める改正法が成立した。この改正方では削除申し出窓口の整備・削除の判断基準の策定と公表・さらに削除申し出のあった場合総務省令で定める期間内に判断し通知するように義務付けた。この改正法には事業者への罰則も組み込まれている。この法改正に関して事業者にとっては削除の申し出をスルーできないという意味で一定の抑止力になるとしたうえで「削除しない」という選択肢もあると山本氏は指摘。今後も運用を見極める必要があるとした。また関屋氏は法律の必要性を認めた反面で、心理的な面で行動変容を促すようなアプローチも必要でないかと指摘。その中である実験に関して言及、その実験ではSNSの誹謗中傷を抑制するシステムの効果に関する実験でネガティブな言葉を書き込むとそれをポジティブな言葉に変換するものだという。この実験により、感情の変化で相手を傷つけないような行動変容が起きたという。またこうしたことに関する教育の必要性、業者による削除の判断に関して被害者だけでなく、その他の方面からの削除請求のあり方に関しても言及された。SNS事業者に対してはこの法律により対応の迅速化、対応の変化が起こり得るとしつつ、機能上の工夫なども必要ではないかとした。表現の自由といった点での問題も出てくるが、削除請求の透明性を高めること、チェックの制度も必要だとした。