栃木県に住む48歳の男性。長年、高血圧を放置した結果40代という若さで脳出血を発症した。高血圧の怖さを広く知ってほしいと取材に応じてくれた。男性が初めて高血圧と言われたのは今から10年程前。会社での健康診断だった。上が高血圧の基準140を上回る166。下は基準90を上回る100の値だった。当時、営業の仕事でノルマに追われていた男性。ストレスで外食や間食が多い生活を続けていた。医療機関の受診を促されたがそれほど深刻に捉えず病院には行かなかった。その5年後、食事や運動に気をつけてきたつもりだったが血圧の上の値は200を超えるまでになっていた。そして職場で突然、脳出血を発症。意識不明となり救急搬送された。高血圧の人たちが適切な治療法があるのに対策を行わない高血圧パラドックス。その深刻さの一端を明らかにした人がいる。高血圧と脳出血の関係について研究している自治医科大学の田中亮太教授。栃木県内の病院に緊急入院した脳出血の患者365名を調査すると自分が高血圧と把握していなかった。診断されても治療をしていなかったという人は5割以上。さらに、50歳未満の患者では8割に上ることが明らかになった。高血圧への対策をとらず脳出血を発症した男性。右半身のまひや言語の障害などの後遺症が残り今もリハビリを続けている。