年金改革法案について解説。26日行われた3党の協議では自民・公明が立民の主張を受け入れる考えを伝え、基礎年金の底上げ措置を盛り込むことで大筋で合意した。立憲民主党が示した骨子案では4年後の公的年金の財政検証で基礎年金の給付水準低下が見込まれる場合、底上げ措置を講じるとし、その際、厚生年金の給付水準が一時的に下がることへの影響を緩和する対応もとるとしている。今週中に衆院を通過させるため各党で調整を進めることになった。厚生年金の積立金の一部を基礎年金へとまわす「基礎年金の底上げ」についてはSNSなどで自営業者が加入する国民年金へ流用されてしまうのではないかという懸念の声があがっていた。政府は厚生年金の一部を基礎年金全体に入れるものであり自営業者などへの給付だけに使われるわけではないと説明。しかし、この底上げ案では厚生年金の給付水準が一時的に下がる人が出てくる見通しが。基礎年金の財源の半分について将来的に最大2兆円の国庫負担をすることで年金の財政を安定させるとしていた。そもそも年金の底上げ措置は自民党が夏の参議院選挙に向けいったん見送る方針を固めていたが急遽年金改革法案に盛り込むことに。野党側が就職氷河期世代の低年金問題についていち早く指摘したためだった。少数与党の状況で法案を成立させるには野党の協力が不可欠。立憲民主党は今回、政権を目指す党として責任ある対応を示したいとして修正を受け入れるよう求めた。基礎年金の底上げが大筋合意に達した今、残る課題は「国民年金の保険料の支払期間の延長」、「専業主婦などを対象にした年金制度の見直しの検討」があげられる。これらは議論の段階で対象者から反発の声などが多く上がることが予想されるが、避けて通ることはできない。政府、与野党ともに丁寧な検討と議論が必要となる。