かぶき村の再建を目指す春樹さんが訪日客の誘致を目論み、中国人ツアーを手掛ける社長にプレゼンしているときだった。時間は2時間半くらいと話すと「無理無理」と言われてしまう。1時間にしたりショーは10分でいいと言われるが、わずか10分では初代から受け継いできた時代物の芝居はおろか若手が磨いてきた踊りさえ満足に披露できない。結局その後中国人社長との連絡は取れなくなり、訪日客の誘致も諦めることとなった。同じ頃、どうすれば大衆演劇が新たな客層にアピールできるのか危機感を抱きながら車を走らせていたのが暁人さんだった。この夜暁人さんが向かったのは妻の実家だった。普段は娘と一緒に巡業に同行する妻の和夏さんが臨月を迎え、出産の準備中だったからである。
住所: 栃木県塩谷郡塩谷町船生7575-4