1個30円のコロッケなど地元で愛された精肉店が58年の歴史に幕を閉じた。二人三脚で店を守り続けてきた夫婦は、別れを惜しんで訪れる多くの常連客たちの姿に「世界一幸せ」と語った。埼玉・草加市・草加駅近くの精肉店「肉のやまだ店」には、最大で約100mにも及んだ長蛇の列。長きにわたり地元の人たちに変わらぬ味を届けてきたのは、肉のやまだ・山田奨大将、妻・山田好子さん。58年前20代の若さで開業。以来、妻との二人三脚でお店を切り盛りするとたちまち地元で評判のお店に。数あるメニューの中でも特に人気なのがメンチカツは80円、コロッケはなんと1個30円。試食した山本さんは「じゃがいもの優しい甘さを感じますね」などとコメントした。物価高の中でも昔ながらの値段を貫いているのは夫婦の思いから。地元に根付き草加っ子から愛され続けてきた店だが、きのう閉店の日を迎えた。体力の限界と後継者がいなかったことで58年の歴史に幕を下ろすことになった。夫婦への感謝の気持ちとして花を届ける人もいた。日が暮れてもなお途切れない行列。夕方には学校から帰宅した子どもたちの姿も目立つようになった。午後7時30分に完売したが、名残を惜しむ常連客が感謝の気持ちを伝えにやってきた。客の要望に押されて、余った豚肉で1日延長して焼豚だけを限定販売することを決定。午後9時を過ぎ人気が途絶えると妙子さんは「最高です。この仕事をしておいてよかった」などと話した。
住所: 埼玉県草加市高砂2