畳は日本固有の文化で現存する最古の畳は約1300年前のもので薄い敷物として使用されていた。かつては身分の高い者だけが座れる高価なものであったが江戸時代には一般的に普及した。伊丹市の工場では年間25万枚以上製造しており出雲大社や歌舞伎座で使用されている。畳の原料はいぐさと呼ばれる植物で、かつては日本各地で栽培されていたが現在は国内の9割が熊本県産である。畳はその中でも長くて芯のあるいぐさを分厚く均一に編み込んだものほど高級なものとされている。工場では将来の人で不足に備えて製造機械をメーカーと共同開発して生産効率を上げている。畳は部屋の歪みに合わせて1枚1枚別に微調整した大きさで作られ、土台となる床は事前に採寸した部屋のサイズに合わせてカットされ、畳表は床のサイズに合わせてカットされる。その後専用の機械で床と畳表を縫製して側面に縁と呼ばれる布を取り付ける。畳の縁の幅は1寸3cmと決まっており、角を作る際に緩みが生じると長さが変わってしまう。機械による生産効率を上げながらも核となる部分には職人の腕と経験があると紹介。
畳を作るうえで最も難しいとされる作業の紋縁は家紋のような丸い模様が入った縁のことで、古くから仏閣などの格式高い場所で使用されている。紋縁は取り付ける際に模様となっている円が必ず左右対称で欠けてはいけないもので作るのに高度な技術が必要になると紹介。縁のない畳は近年畳業界でトレンドになっており、同じ色を並べても山と谷の光の入る角度で濃淡が現れる。また色で染めた和紙を使用した和紙畳はいぐさよりも耐久性に優れ、樹脂の畳はいぐさよりも耐水性に優れると紹介。樹脂のものは小さく作って畳クッションにしたり、物を置くコースターやおぼんにもなる。裏面に別の素材を使用したリバーシブル畳はホテルなどの様々な利用法が求められる施設で注目されている。昭和初期に開業した工場は昭和の建設ラッシュの波で急成長したものの平成になって畳離れが進み、30年前の3割程度になっている。打開策として24時間態勢にして深夜でも畳の修繕や張替えをして、海外にもファッションを通じで紹介するようにしたと紹介。