藤本の原点は祖父にある。祖父が自分を漁師にしたかったので獲れたやつ何でも食べていいよと言ってくれて、ひたすら自分が美味しいと思うやつを選んで食べてを繰り返し、今思えばそれが目利きの英才教育になっていたという。他の漁師同様に市場へ魚を卸していた藤本。20代で知り合ったシェフに魚を送ったことがあった。他の料理人も紹介してくれて年ごとに取引先が倍々と増えたという。その後、妻と共に新鮮な魚を届けるための実験を開始。今では新鮮な魚を直接店に届けている。藤本はスーパー内に鮮魚店までオープン。料理人だけでなく地元の一般客にも魚を届けている。その仕事は愛媛だけに留まらない。年に数回は漁を休み全ての取引先に足を運ぶ。目的は客に出された魚の状態を見ること。うまい魚に情熱を燃やす藤本は長年の”ある夢”に挑んでいた。