きょう政府は来年度の診療報酬改定について、全体を2.22%引き上げることを決めた。経営が厳しい医療機関から大幅な引き上げを求める声が上がっていて、今回12年ぶりにプラス改定で決着した。これを受けて日本医師会はきょう会見で、非常に前向きにとらえているとコメントした。赤字経営となっている東京科学大学病院を今年10月に取材した際には、建物のいたるところが壊れたままになっていたり、対応年数を超えても使用している機器などがあった。今回の改定について東京科学大学病院の藤井病院長は、老朽化した医療機器や設備についても、緊急度や安全の観点から更新していく道筋が見え始めたと話している。昨年度、病院の約7割が赤字だった一方、クリニックは約6割が黒字となっていて、医療機関の規模や形態によって収入状況も違う。このため先月には、健保連なども診療報酬にメリハリをと厚労省に要望していた。今回の改定では、物価対応分や入院時の食費などは病院への配分が高くなっている。厚労省は、賃上げで働く人の給料が上がっていて、保険料全体としては増加しているため実質的に国民の「負担率」は上げない形で財源を確保できるとしている。これについて日本総研の西沢さんは、このまま診療報酬が上がり続ければいずれ私たちの負担も上がる、特に働く世代の負担が増えてしまうため診療報酬を上げればいいというものではない。在宅医療の整備によって、入院日数を減らしたり、医療費抑制や、人手不足対策など医療全体の改革も必要と話している。
