開幕まで5か月となった大阪・関西万博。万博で自分たちの技術を世界に知ってもらおうと準備を進める中小企業を取材した。大阪市内のビルには万博への出展を予定する中小企業10社が集まった。ソフトウエア会社や化粧品メーカーなどが効果的なプレゼンや展示についてアドバイザーから助言を受けた。万博会場には「いのち・健康」をテーマにした「大阪ヘルスケアパビリオン」もでき、地元の中小企業がブースを出展することになっている。1週間ごとに企業がかわるがわる最新技術を紹介する展示体験コーナーが設けられる。国内外から多くの人が訪れる万博はアピールには絶好の機会。出展企業の1つである兵庫・西脇市のソフトウエア開発会社は、開発中のがん細胞の診断支援システムを展示する。人の細胞を写した画像をパソコンに取り込み、がんの疑いがある部分をAIが識別する仕組み。AIが細胞の中心部分にある核の大きさや形など5つの特徴を数値化して判定する。これらの検査は、多いときには10万個以上という膨大な数の細胞を専門の医師が一つ一つ顕微鏡で確認する緻密な作業。開発中の支援システムは医師の負担軽減につながるだけでなく、患者にとっても見落としのリスクを減らしてくれるのではないかと期待されている。専門家の助言を受けながら、比較的AIが識別しやすい「膀胱がん」から開発をスタートした。医療関係者にはAIによる診断支援システムを体験してもらい、一般の来場者にはがん健診に興味を持ってもらえるようゲーム形式で細胞診断を体験してもらう計画。大阪ヘルスケアパビリオンでは地元の中小企業など441社が展示・出展し、最新技術を紹介することになっている。