西郷隆盛の故郷で薩摩藩だった鹿児島。まずは町中の高台にある西郷像へ。軍服をまとった威厳のある顔はどこかおっとりした上野の銅像とは顔つきが違った。町で聞き込みを続ける中で浮かび上がったのは町一番と言われる西郷通の若松宏さんである。子供の頃から独学で西郷を調べ、ありとあらゆる資料を集めてきた。写真はないが西郷の実像に迫る秘蔵の品があるという。西郷隆盛の親戚であるトクの昭和27年に西郷について語った音声が残されていた。トクは若松さんの曽祖母であり、親族で大切に保存してきた音源はテレビ初公開だという。キセルでこめかみをかく癖があり、髪が抜け落ちていたとのこと。一方で本当は目が細かったともあり、馴染みのある顔も本物とは違うのだろうか。西郷は30歳のとき、志を共にした僧侶・月照が追われる身となった際自殺を図っていた。奇跡的に生き残ったが、一度は死んだ身として進んでカメラに立ち写真を残そうとはしなかったはずである。一方、同じ郷里の友である大久保利通に写真を送るとの約束があったという。