日本海に面した古くからの港町である新潟県の寺泊に、角上魚類の本店はある。角上魚類は1974年、1店の鮮魚店から始まった。現在は従業人1279人、売上高426億円の企業に成長した。その原動力となったのは、新潟市にある地方卸売市場・新潟市場である。ここに、バイヤーの有馬徹さんの姿があった。この冬の水揚げ状況を確かめに来ていた。有馬さんは携帯電話を取り出し、豊洲市場にいるバイヤーの呉井宏之さんに電話をかけた。お互いの状況を確認しながら買い付けを行う。角上魚類が取り扱う鮮魚は1ヶ月で約700トン。しかし、漁獲量の減少で市場に魚が集まらない。角上魚類の仕入れは岐路を迎えていた。年末商戦が迫る中、新しい仕入れルートを開拓するため、有馬さんと呉井さんは鳥取県の境港に足を運んだ。大量の紅ズワイガニが水揚げされた。カニは鮮度が落ちやすいため、大半は地元の加工用に回る。生で売り切る自信がある有馬さんたちは、これらの買い付けに大量の紅ズワイガニの買い付けに成功した。また、石川県金沢市には、普段新潟で仕入れを担当している加藤雅章さんと木村利博さんが向かった。狙いは冬の食卓に欠かせない寒ブリ。地元新潟のブリが手に入りづらくなったため能登の寒ブリに目をつけた。大量に買うことで相場を上げすぎないようにすることにも気をつけおり、結局、金沢での買い付けは断念した。