国内の企業の99%を占め、地域経済を担う中小企業や個人事業主。そこへの支援を行っているのが、信用金庫。利益が求められる銀行とは異なる非営利の組織。人口減少が急激に進み、金利のある世界の到来も見込まれる中、信用金庫の在り方が改めて注目されている。今、地域に必要な金融の担い手とは何かを考える。信用金庫は、全国に254ある。地方銀行の99を大きく上回っていて、日本経済にとって重要な金融機関。きょうから3回にわたって伝える“シリーズ信金”。1回目のきょうは「“もっとおせっかいに”最小信金の決断」。ことし3月、足立区・足立成和信用金庫と葛飾区・東栄信用金庫が来年10月に合併することで合意したと発表した。都内では19年ぶりとなる合併。「少子高齢化の波がすごいスピードで来た、どうしたらいいか」と危機感をあらわにした、東栄信用金庫の北澤良且理事長。預金量は都内で最少。合併を決めたきっかけの1つが預金の減少だった。若い世代がネットバンキングを充実させる大手銀行に移り、金融機関の根幹をなす預金が去年、減少に転じた。信金は銀行と違い、営業エリアの外に進出することは原則できない。預金が減れば貸し出し機能も低下して、地域経済も衰退するという負のスパイラルに陥りかねないという危機感が高まっていった。北澤理事長が目指すのは、合併したあとも地域密着型の“おせっかい”を大切にすること。スタートアップ企業とのつながりを持つために信金が始めたのが「創業塾」。事業を始めたい人たちに、無料で事業計画の作成などをサポートする。これまでに300人以上が卒業して、6割近くが起業した。今回の合併は東京でも人口減少が迫っているという強い危機感を反映しているが、地域密着型の金融インフラとして、存在意義をどう発揮していくのか。信用金庫は難しい課題に直面している。あすは移住者の起業をサポートする信金の取り組みを紹介する。