アメリカ・トランプ政権はアメリカが輸入する全ての鉄鋼アルミニウム製品に25%の関税を発動した。日本も対象となる。トランプ政権はアメリカ企業の競争力を維持するためだとしているがアメリカ国内では輸入製品の価格が上がり再びインフレが加速するのではと懸念が広がっている。クラフトビールの工場では缶にビールを詰める作業が慌ただしく行われている。アルミ缶が今後、関税の影響で値上がりする見通し。2017年に創業したイカロス・ブリューイングの主力のクラフトビールは地元のバーや酒屋など400店舗に出荷。従業員およそ30人で、製造や販売に当たっている。製造ラインの責任者を務めるカーティスさんたちは、これまで数百種類の商品を開発。ヒット作にも恵まれ、事業に自信を深めている。去年の夏には生産拡大のために工場をより広い敷地に移転。ドイツから最新鋭の機械を導入するなど将来への投資を続けてきたが、先月トランプ大統領が鉄鋼アルミへの関税を発表すると状況は一変。国内で消費するアルミの半分近くを輸入に頼るアメリカ。すでに値上げの波が来ていてカーティスさんの会社ではコスト削減策の検討を始めている。また、発酵用のタンクはステンレス製で中国からの輸入品のため追加の購入がしづらく、会社の経営計画に狂いが生じている。関税政策などの見通しが不透明な中、中小企業を対象にしたある調査では経済の先行き不安を示す指数が大幅に上昇。過去の大統領選やコロナ禍を超える水準となっている。現在カーティスさんたちが販売するクラフトビールは4本セットで平均2200円ほど。すでに大手メーカーより高めの価格だが、今後も高い関税が続けば10%以上値上げする可能性もあると話す。アメリカでは2月の消費者物価指数が発表された。1年前から2.8%の上昇と伸びが5か月ぶりに減速した。変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数は3.1%のプラスと、こちらも前の月から減速している。ただ3月以降の消費者物価は関税の影響が色濃く反映されるため伸びが加速する可能性が指摘されている。アメリカの中央銀行にあたるFRB(連邦準備制度理事会)パウエル議長は先週関税が一過性の現象で、まだ長期的なインフレ加速には繋がらないとの見方をして示している。ただ、関税が段階的に引き上げられたり、より大幅な規模になればリスクになるとも指摘していて引き続き注意が必要。