就職氷河期世代は現在40~50代で、労働人口の約1/3を占めるという。厚生労働省の調査によると、当該世代のこの5年の賃金の伸び率は他の世代と比べて低い。みずほリサーチ&テクノロジーズの酒井才介氏は「人材不足の今、企業は若くて優秀な人材を求めていて、獲得するための原資を重点的に振り分ける。一方、40~50代は人数が多く、賃上げすることは企業にとって負担が大きい。就職に苦しんだ経験から、賃金に不満があっても転職しないだろうと考えている」とコメント。さらに氷河期世代は納めた保険料も、将来もらえる年金も少なく、物価上昇が厳しいなか、家計が苦しい世帯が増える恐れがある。個人消費の鈍化は日本経済全体にも悪影響を及ぼしかねない。ただ、酒井氏は企業間で人材の引き抜き合いが活発化すると、他社に流出しないよう、氷河期世代の賃上げが進む可能性を挙げた。