標高500mほどの緑豊かな盆地にキャンディの街はある。ここが聖地になったのは仏教の貴重な秘宝が祀られた寺があるため。スリランカでは7月から8月にかけてを「エサラ月」と呼ぶ。この月には大きな祭りが開かれ、人口13万のキャンディに100万人が押し寄せるという。この時期キャンディには周辺の村々からゾウが一斉に集まる。スリランカでは昔から神聖な生き物として敬われてきたゾウ。祭りでの大事な役目が待っている。ダラダー・マーリガーワ、通称「仏歯寺」にあるスリランカの秘宝が関係する。お堂にある舎利容器の中に仏陀の歯が入っている。仏歯を崇める信仰が現在まで続いていることが、世界遺産になった理由の一つだ。スリランカにあるのは仏教の犬歯。東インドにあった古代の王国からもたらされたと伝わる。当時スリランカを治めていたのは仏教を信仰するシンハラ人の王朝で、都は北部のアヌラーダプラにあった。王は仏歯は雨をもたらすと信じ、大切に祀ったという。その後何度も内乱が起き、歴代の王は争いが起きるたびに仏歯と共に都を移した。15世紀、王朝が最後に都を置いたのがキャンディだった。仏歯はいつしか王の権威を象徴するものとなった。
