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「吉正さん」 のテレビ露出情報

現れたのはまるで巨大な心臓を彷彿とさせる物体。高温の蒸気を封じ込め羽根車を覆う鋼鉄製のカバーだ。今回の解体はいつもと一味違う。一旦解体しメンテナンスを施したのち再び元の状態に戻し再稼働させなければならない。部品のほとんどが特注品のため万が一傷がつくと修繕費が数十億円にものぼるという。また工期が遅れれば電力需要が増える年末までに復旧できず市民の生活に大きな影響が出る。難関ポイント1「巨大タービンを傷つけず解体・復旧せよ」。まず羽根車を覆うカバーを取り外すがカバーの重さは46t。長さ1.5mの特注ボルトという独特の構造が解体を難しくしている。「高周波ボルトヒーター」という秘密道具でボルトに電気を流し300℃まで加熱させることでボルトが膨張し重力によって下に伸びてわずかに緩んで取り外せる。ボルトが緩んでいるかどうかは職人が音で確認する。ボルトの重量は200kg。クレーンで慎重につり上げ見事に抜けた。1本取り外すのに6時間近くもかかる大変な作業だ。続いて46tのカバーを取り外す。クレーンでつり上げる瞬間、つり荷は大きく揺れることがあるが中の構造物が揺れて破損してはいけないため油圧ジャッキなどを駆使し慎重に水平に上げていく。作業開始から2時間、ジャッキで水平に持ち上げられここからはクレーンで一気につり上げる。そのときカバーが予想以上に上がり職人も思わず声が上がる。前後の高さの違いはおよそ10mm。誤差は5mm以内に収めなければならない。職人が高かった前方を下げていく。無事4隅の誤差は5mm以内に収まった。カバーは無事取り外されミッション大成功。
2週間後、最難関ミッションが始まる。姿を現したのは関係者以外絶対に見ることのできない長さ8m、重さ44tの巨大羽根車。羽根車は発電の際、1分間に3600回転する。速度は音速の2.6倍。かすり傷ひとつついているだけでそこから亀裂が生じ大惨事に繋がる恐れがある。羽根車を絶対に傷付けることなく取り外すのが今回のミッション。田中道子と撮影スタッフはボタンなどが落ちて羽根車を傷付けないようファスナー式のつなぎを着ることが義務付けられた。蒸気の力を逃すことなく羽根車に伝えるため隙間はギリギリまで狭められている。このことがクレーンでのつり上げを難しくしている。難関ポイント2「誤差0.1mm以内で巨大羽根車を水平につり上げろ」。秘密道具「ロータ天びん」は長さ6mで天秤にはスライド可能なパーツがありこれで左右2点でつり上げる。もう一つの秘密道具は特別に取り寄せたという「高性能水準器」。こうした道具を使いこなすのは限られた職人たち。人呼んでタービン屋。リーダーの野口和敏さんは親子2代でタービン屋。まずは羽根車の玉掛け。10年前に解体・点検した際のつり位置の目印が残っていた。今回も同じ場所に取り付ける。クレーンで羽根車を数ミリだけ浮かしていく。無線ではなく笛の音で全員が作業内容を共有し心ひとつにして挑んでいく。さらに巻き上げ量によって吹き方も変わる。クレーンを操作する神野満男さんは“ゴッドハンドの神ちゃん”の異名を持つ腕利き。職人たちは指先で触れて数ミリ浮いたかを確認する。水準器で確認すると右側が少し高い状態。長年の付着物がつき10年前とは重心がズレていた。野口さんは下のつり具の位置を1cmずらすという意外な判断を下す。ところが今度は逆側に傾いてしまった。先程の半分だけ動かして見事左右の傾きを0.1mm以内に収めることに成功した。ここで軸を監視していた藤井さんが壁側にほんの少しだけ偏っていることに気付いた。窓側に寄せるため神野さんの操作は一瞬だったが羽根車がわずかに接触。幸い傷はつかなかったが職人たちの間に緊張が走る。軸を中央にするためクレーンで動かすのは1mm程度。神野さんのハンドルさばきが炸裂し見事成功した。慎重につり上げ作業が行われ羽根車が全貌を現した。オーバーホールの作業場まで運ばれていく。超絶ミッション大成功。タービンはメンテナンスを施されたのち12月下旬に復旧予定。

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