又吉直樹のおすすめ本は、強く刺激を受けたという「列」という小説。著者の中村文則さんは、2015年に芥川賞を受賞。「銃」や「教団X」など人間とは何かを追求する小説を多く描いてきた。最新作の「列」は冒頭、男は先頭も最後尾も見えない列に並んでいた。しかもなぜ並んでいるのかわからない。隣の列を羨んだり列を離れたくなるような噂を流すものが現れるも、誰も列から離れることは出来ない。不思議な列から他者との関わり、人間の心理に鋭い視点で切り込んだ作品。又吉直樹は、「比較されるしんどさと向き合ってどう捉えていくか。なにをずっと1人で悩んでんねんって言われるような笑われるようなことも含め、冷笑せずに正面から向き合ってくれる小説なので大事、貴重」などとコメント。さらに著者への特別な思いがあり、悩みに対し正面から向き合う作家がいないか探した時にデビュー作「銃」と出会い、自身のイメージする現代の小説がここにあると思って追い続け、影響はとんでもなく受けているという。