美智代さんは（68）は47年のキャリアがある海女で、2時間30分の漁が許されている（乱獲防止のため）。また、3人の子供を育てた母親でもある。海水が混入しないよう、ゴーグルをキツく装着しているため、額には大きなシワが目立つ。女性からすればやや恥ずかしいが、海女としては勲章だという。
佐藤はなえさん（26）は1mmのタトゥーを1000人以上に彫り続けている。彫る時、人の皮膚を凝視すると、その人がどのような人生を歩んできたのか、集積された歴史を垣間見る気がするという。
美智代さんは幼少期から母の漁に連れられ、船上で母乳を与えられたこともあったという。母の力江さんも働き者で、額には大きなシワがあった。だが、美智代さんも負けず劣らずで、乳がんの抗がん剤治療を受けている時も「いつ、潜っていい？」と医師に尋ねていたという。生きるため、左胸にメスを入れることを選択した。今も、海へ潜り続ける。