去年イギリスは難民申請者を強制的にルワンダに移送する政策を打ち出した。2022年以降に非正規の方法で入国した難民申請者の一部を国内には受け入れずルワンダに移送。ルワンダは約222億円の資金援助と引き換えに難民認定を審査し、住まいの提供などをする。イギリスは難民受け入れの負担を減らすだけでなく危険な航海を諦めさせる人道的な政策だと主張している。これに対しUNHCRは、保護を求められた国が自ら難民を受け入れるという難民条約の精神に反するものだと批判している。難民支援団体のジャマルさんは、この政策は当事者の意思を無視するものだと訴えてきた。去年イギリス政府が難民申請者たちを搭乗させようとした機内からは泣き叫ぶ声が聞こえた。離陸直前にヨーロッパ人権裁判所の介入で移送は差し止めになったが、政府は今も移送の正当性を主張し裁判が続いている。ルワンダはかつて内戦で200万人の難民が発生したが、平和を取り戻した今は難民を受け入れる側となった。かつての内戦の影響で医師が不足する中、医療現場ではひときわ手厚く迎えられている。一方難民の扱いをめぐっては懸念も指摘されている。2018年には難民キャンプで起きた処遇改善を求めるデモに警官が発砲、12人が亡くなった。ルワンダ政府の報道官は難民や移民の受け入れを国の成長に役立てたいと語った。ルワンダと合意した移送政策の受け止めについて、イギリスの世論は二分しており、6月に行われた調査で「賛成」と答えた人は全体の4割程度だった。