日本でも定年の年齢を引き上げる企業が増えているが、今月から中国でも国が定める定年退職の年齢が引き上げられた。奥谷龍太解説委員が「中国では経済の低迷で困っている人が増えているが、ここへ来て定年退職年齢の引上げが70年ぶりに始まり、年金の受給が先延ばされることに不安を感じる人が増えている。中国政府は男性60歳、女性は最長55歳という定年の年齢を今月から段階的にそれぞれ3年引き上げることを去年決定した。これに対して特に若者の間で反発が強く、中国のネット上では「年金を受け取る期間が短くなるのは損だ」とか「ただでさえ失業率が高いのにシニア層が居座ると仕事がさらに減る」といった不満をぶつける投稿が多く見られる。中国では年を取ったらゆっくり暮らしたいと考える人の方が多いという事情がある。また若い人は政府の年金制度に不安を抱いていて、将来年金を受け取れなくなるのではと心配しているという事情もありそう。これまで中国政府は反発を恐れてずっとこの問題を先送りしてきた。しかし少子高齢化が急速に進み、10年後には人口の5人に1人が65歳以上という超高齢化社会に突入する見通しで、このままでは年金財政が枯渇して年金制度が破綻してしまいかねないと指摘されている。米国のトランプ大統領は来月から中国に対し10%の追加関税を課すことを検討中だとしているけれども、そうなれば中国経済への影響も懸念されるので、年金制度をめぐる国民の反発が心配な習近平国家主席にとってもまさに雪も降り霜も降りるとなっている」とスタジオで述べた。