幸後綿衣さんはミシュランの星に輝いた銀座の高級店「鮨 あらい」の鮨職人。店の二番手が任されるという個室を担当している。常連客は「センスがいい」と口を揃える。24歳でこの道に入って10年。独立するまでの半年を見つめた。去年6月、幸後は仲卸人との関係を深めるため毎朝のように豊洲市場に通っていた。マグロ仲卸人の山口幸隆さんも彼女を応援している。昼の営業を前に板場では若い職人たちが仕込みに追われていた。親方に次ぐポジションの幸後は店の味を守る責任者でもある。幸後に憧れて働く多くの女性がいた。親方・新井祐一さんは女性を板場に迎えることを厭わなかった。料理好きな母親に少なからず影響を受けたという。親が学校に呼び出されたことは数知れず、手のかかる娘だったが成績は良く、上智大学ドイツ文学科へ進んだ。将来は海外で暮らしたいと思って鮨職人の道へ。去年6月30日、幸後が「鮨 あらい」で働く最後の日を迎えた。
去年8月、幸後は北海道の最北の島・礼文島を訪れた。店を持つ以上は食材を育む自然にも通じておきたいとの思いからめぼしい産地を巡っていた。極上の利尻昆布とウニで知られる礼文島を訪れるのは2回目。知り合った漁師とはすっかり意気投合していた。前回漁を見せてくれたお礼に東京からノドグロを持ってきて振る舞った。
去年11月、麻布十番で幸後の店の開店準備が進んでいた。5人が座れる個室とカウンターが8席。箸置きは重くてずれないのが欲しかったが既製品では無かったので作ってもらった。食材に合わせた各地の器も用意した。自分らしさにこだわりシャリに使う米と酢の銘柄はこれまでと変えた。プレオープン日には親方が訪れた。一通りコースを食べた後、赤身・中トロを再注文した。何か違うと感じた様子だった。
去年8月、幸後は北海道の最北の島・礼文島を訪れた。店を持つ以上は食材を育む自然にも通じておきたいとの思いからめぼしい産地を巡っていた。極上の利尻昆布とウニで知られる礼文島を訪れるのは2回目。知り合った漁師とはすっかり意気投合していた。前回漁を見せてくれたお礼に東京からノドグロを持ってきて振る舞った。
去年11月、麻布十番で幸後の店の開店準備が進んでいた。5人が座れる個室とカウンターが8席。箸置きは重くてずれないのが欲しかったが既製品では無かったので作ってもらった。食材に合わせた各地の器も用意した。自分らしさにこだわりシャリに使う米と酢の銘柄はこれまでと変えた。プレオープン日には親方が訪れた。一通りコースを食べた後、赤身・中トロを再注文した。何か違うと感じた様子だった。
住所: 東京都港区麻布十番1-6-1 THE V-CITY 麻布十番 PLACE 6F