今月、英国推理作家協会賞 ダガー賞の翻訳部門に、王谷晶さんの長編小説でサム・ベットさんが翻訳した「ババヤガの夜」が選ばれた。日本作家の受賞は初のこととなる。恐ろしいほど喧嘩に強い主人公の女性が、暴力団の会長の一人娘の護衛を任され、裏社会の闇に迫るというストーリーとなっている。作者の王谷さんはレズビアンであることを公表しており、女性同士の恋愛や家族の物語を手掛けてきた。この作品では、主人公が護衛を任される中で信頼関係を深めていく様子が丁寧に描かれている。女性同士の強い連帯を示す「シスターフッド」特集として、当時、文芸誌に掲載されていた。近年では姉妹愛を描いた映画「アナと雪の女王」など、女性同士の絆を描いた作品が注目されている。