原爆投下直後に降ったいわゆる「黒い雨」をめぐって、国は広島で投下された原爆では被爆地域の外にいた人でも「黒い雨」を浴びた可能性が否定できない場合などは被爆者と認定する新たな基準をおととし設けた一方で、長崎については「黒い雨」が降ったことを示す客観的な資料がないなどとして、被爆地域の外にいた人を今も被爆者と認定していない。こうした中、長崎県と長崎市は厚生労働省に対し調査を求めていて、これを受けて厚労省がアメリカのABCCが作成した資料の中から、原爆投下後に放射性物質を含んだ雨など降下物の拡散状況が分かる資料などを調査していた。そして厚労省はアメリカ国内の国立公文書館など3か所に保存されている資料について今月10日までに調査したが、目的の資料の発見には至らなかったと発表した。ただこの問題をめぐっては、長崎県と長崎市からアメリカのテキサス医療センターの図書館やイギリスの国立公文書館でも追加の調査を行うよう要望が出されており、厚労省は年内にも追加の調査を始めることにしている。