アメリカ・トランプ大統領の施政方針演説。共和、民主の党派で議場が割れたのと同じように、世論の評価も割れた。CNNテレビが直後に行った世論調査によると、演説を非常に前向きに評価した人は44%と、半数近くに上った一方で、8年前の1期目の演説よりは13ポイント低下した。演説でトランプ大統領は、バイデン前政権の4年間を徹底して批判することで、この6週間でみずからが打ち出した数々の政策転換の正当性をアピールした。ただ、相次ぐ関税の発動で、ニューヨーク株式市場はこの2日間、大幅に下落しているほか、ウクライナ情勢では、ゼレンスキー大統領との対立で、公約に掲げた停戦に向けた道筋は描けないまま。先週、あれだけ激しい口論をしながら、演説では一転して、ゼレンスキー氏からの書簡に感謝の意まで示したことからは、目に見える成果を早く出したいという焦りも垣間見えた。自分を支持する側のためであれば、分断もいとわないという姿勢を一段と明確にした今回の演説は、トランプ大統領が打ち出す政策に、世界が振り回される日々が続くことを、予感させるものとなった。