徳島県・神山町にある全寮制の高等専門学校「神山まるごと高専」。「起業家精神を学べる」ということの他にもう1つ大きな特徴となるのが「学費の実質無償化」。神山まるごと高専の運営には多くの企業が関わっている。学生1人あたりの学費は年間約200万円。家庭の経済状況に左右されず学んでほしいという思いから、ソニーグループやソフトバンクなどの企業が出資・寄付を実施。その基金を運用会社に委託することで安定的な奨学金の給付を可能にした日本初の仕組み。この日行われていたのはスカラーシップパートナー企業の1つ・富士通と学生たちとのミーティング。企業が扱う事業をもとにビジネスモデルを考えて発表した。企業は奨学金のサポートをするだけではなくインターンやビジネス講座などを実施。学生たちに社会をそのまま体験してもらうことを目指す。さらに水曜日の放課後に行われているのは起業家やクリエイターなどが講師を務める「Wednesday Night」。講義後は一緒に食事をするなど交流を深め、起業家の思考や週間を学び起業することを「憧れ」ではなく身近に感じてほしいという。学生たち自ら社会との向き合いを通して世界に挑戦したことも。去年学生たちが立ち上げたロボット製作などを行う部活「Hanabi」。15歳~18歳の学生を対象としている国際ロボットコンテストのハワイでの地区大会に出場した。ハワイへの遠征費用・ロボット製作費のため学生自身でスポンサー企業を探し、集めたお金は18社・760万円。ロボットのクオリティーだけではなく大会期間外の活動も評価対象となるこの大会。部活設立から約10か月でプログラミング体験などのワークショップを神山町内で25回開催。地域への高検も評価され本戦出場は逃したものの、「Rookie Insriration Award」を受賞した。指導・支援ではなくチャレンジや意思を「応援」する存在でありたいという神山まるごと高専。社会も学べる新たな仕組みで学生たちの可能性を広げる。