日本国内で要らないものとして回収された中古品が、東南アジアのタイで大人気となっている。一斉に店内へとなだれ込む買い物客。目当ての品を奪い合う様は、さながら戦場。ここはタイの首都バンコクにほど近いショッピングモール。争うようにタイの人たちが買い求めているのは、全て日本から仕入れた中古品。東京ドームほどの敷地には、食器やキッチン用品、古着に、おもちゃまで、日本では不要品となったものがずらりと並ぶ。中には「これ売れるの?」と思うような品物もあるが、店は連日の盛況ぶり。客の中には転売目的の業者もいるそうだが、日本では廃棄される運命だった中古品が、なぜこれほど人気なのか。不用品ゆえの価格の安さに加え「日本人が使っていたものだから品質が保証されている」という信頼感が人気を呼んでいるという。日本の中古品の広がりはこんなところにも。バンコクにある日本風居酒屋には、店のオーナーが買いそろえた日本のグッズであふれ返る。日本食レストランの数が去年、過去最多となったタイ。競争が激しくなる中、親日の客をより多く呼び込むために、リアルな日本の雰囲気を作り出す中古品が求められている。家で眠っているかもしれない要らないものは、所変わったタイでは思わぬ価値が生まれるかもしれない。