災害時の“情報難民”への支援は空からだけではない。日本の民間通信会社が協力し、海から通信を確保する方法も実用化が進んでいる。NTTグループの所有する全長123mの海底ケーブル敷設船「すばる」。災害時には“船の上の基地局”へと変貌する。船内には80人分の宿泊設備を備え、1カ月以上の滞在も可能。船の上の基地局は能登半島地震で稼働。発災5日後から輪島市の沿岸エリアに通信を提供。当時はNTTグループとKDDIの2社による合同プロジェクトだった。今ではソフトバンク、楽天モバイルも加わり、携帯大手4社の基地局が運ばれることになった。船に積んだ基地局だけで被災した全域を普及できるわけではない。1つの基地局でカバーできる範囲は数km。容量の大きな通信は想定されていないという課題もある。携帯大手4社では車での基地局運用や避難所へのWi-Fi提供などさらなる支援を検討。アメリカで開発されている空飛ぶ基地局にも天候などによって電波状況が変動する課題があり、解決に向けた技術開発が進められている。さらに、災害時に通信網の整備の復旧を担う人材不足が課題として浮かび上がった。災害時の通信網の整備は事業者の自己負担に頼る部分が大きく、通信料の安さを競う状況では整備費用が経営の重荷になっているため、政府が主導して災害時の通信確保に向けて国民全体でどう負担していくのか、通信料の見直しも含めて制度設計を図る必要性を強調。
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